荒業地帯のパペット/ドクダミ五十号
単純作業をするはずの機械仕掛けは
作業員を工場の雑務要員として従事させ
四六時中の作動をお守りさせた
切削油の匂いは余所ゝしく感じられ
切り粉は制作の結果と云う輝きを失い
単なる廃棄物として醜さに堕した
男は暗い炎を網膜より奥に宿して
青焼きでは無く作業手順書を睨めつける
昼を告げるサイレンが鳴る度に
若く美しく優しい女の成れの果ての
けたたましく鬱陶しい罵りを思い出す
帰ればその後ろ姿のうなじの辺りの
悲しい怒りの後れ毛が踊るのを
嫌でも見なければならないのに
そんな環境で愛しい子は妙に大人びて
経営者がま
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