昼下がりの砂漠/wako
高い天井
絨毯に吸い込まれていく足音
息づかいさえ聞こえてきそうな静寂
ページを繰る音も
遠慮がちな小さな咳も
潮が引く様に遠のいて
異様な錯覚に陥っていく
あたりが歪んで
異空間に迷い込みそうな
分厚い写真集を机に置くと
思いがけず大きな音がして
ハッとする
ここに別世界が、と
表紙が
かすかな水脈の上で
タマリスクのピンクの花が
咲いては、散って
咲いては、散って
悠久の時を刻んできた砂漠
タクラマカン
熱風が
砂粒が
理解できない言語が
幻の様に
空耳の様に
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