昼下がりの砂漠/wako
 
高い天井
絨毯に吸い込まれていく足音
息づかいさえ聞こえてきそうな静寂
ページを繰る音も
遠慮がちな小さな咳も
潮が引く様に遠のいて
異様な錯覚に陥っていく
あたりが歪んで
異空間に迷い込みそうな

分厚い写真集を机に置くと
思いがけず大きな音がして
ハッとする
ここに別世界が、と
表紙が

   かすかな水脈の上で
   タマリスクのピンクの花が
   咲いては、散って
   咲いては、散って
   悠久の時を刻んできた砂漠
   タクラマカン

   熱風が
   砂粒が
   理解できない言語が
   幻の様に
   空耳の様に
   
[次のページ]
戻る   Point(4)