あずきの恋人 (連載?)/たま
……。」
「うん、絵本みたい。」
「ふーん、ほんとだねぇ。じゃあ、あずきちゃん、この付箋みんなあげるから、ね、あたしも絵本に入れてね。」
また、鈴木さんだ……。わたしはもう、このおばさんを無視することに決めた。
「では、あずきさん、つぎの絵をみましょうか。」
「はい。」
わたしはスケッチ・ブックをめくって、外山先生がよくみえるように机のうえで、くるりと反転した。
「……これは、あずきさんのお家のリビングですね。」
「はい。あ、でも……、」
「ん、なに?」
「ちょっと、失敗したの。」
リビングにはひろい窓があって、窓の外にはしろい塀がちいさな庭を囲んでいて、塀の上にはイチ
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