私語硬直/木屋 亞万
 
と恥辱に満ちた表情で背中を丸めて退場する

俺は詩が書きたい
文壇の頂点を目指して
停滞した伝統を打ち破り
束縛する常識を潜り抜ける
一編の詩で業界をひっくり返してやる
気張って
筆を手にしたところで
紙は白いまま埋まらない
言葉は蜘蛛の子のように離散
雲子に毒の溜まらない河豚のように
空洞の文体だけが膨らんで
自慰行為を繰り返す
汚れた紙上で文字は
平凡に隣り合って
当たり障りなく過ごす
意味も深みも生まれない

私は何がしたい
物心がついてしまった
夢も希望も目的も方向性も定まらぬまま
踏み出さねばならなくなった
道を知らぬ世界へと踏み出していくの
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