或る赤い星/レイヨウ
 




目を、閉じる寸前。

目の、覚めるような青。


「君は死ぬの?」


少しつり上がっている意志の強そうな目が
ボロ雑巾のような僕を見下す

このガキ、と眉間に皺を寄せる気力も無い
その代わりに
乾涸びた笑い声が2、3響いた


ここではないどこかへ
行きたいのさ

「どうして?」

心を殺して生きる生物なんて
人間くらいだと気づいたからさ

「それが理由?」

尤(もっと)もな理由が必要かい

「いらない」

なら、いいじゃないか



不毛地帯に冴え冴えと揺れるワンピースの裾に
いつか夢に出た青いユニコ
[次のページ]
戻る   Point(5)