投票所/
草野春心
小学校は
投票所になっていた
冬のひととき
ぶらさがるカーテンの波を
光の風が揺らす教室
長靴にしのびこんだ
濡れ雪を気にしながら
まるい恋人と
しかくい恋人と
さんかくの恋人のことを
何とはなしに想って
だれもが
眠そうな顔をして
投票所は静かだった
恋人よ、
君のいれてくれた
熱いコーヒーを飲みたかった
なんのかたちもしていない
なんのにおいもしない
君の
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