屍体は睨む/HAL
をハイエナの如く貪って満足するなと
もう屍体の動かない眼はぼくを睨みつける
なぜだれにも話さず隠してきたかは知らないけれど
いつなにかで死ぬかも知れない戦火のサイゴンへと
護ってはくれないプレス・カードだけで訪れたとき
いくら公開処刑とはいえ初めてひとがひとを殺すのを視た後に
ずっと吐きつづけたお前はそれでも戦争とは何かを視るために
いのちを賭けて前線に向おうとした無謀なお前はどこにいった
あの熱いこころを以て俺等が戦う戦場に来て言葉を紡げと
だがその問いにいまぼくは沈黙するだけで返す言葉がない
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