アソコ伝 50章/花形新次
明日か明後日か
いよいよ世界が滅亡する
という噂が
まことしやかに流れていた
タマンキの弟子達の中にも
それを信じるものがいて
信じないものとの間で
言い争いになっていた
それを見かねた弟子のひとりが
タマンキに真偽を尋ねてみようと
言い出した
弟子達数人がタマンキのもとに赴き
話を切り出すと
タマンキは小さく頷かれ
こう答えられた
「幸福な日々を過ごしている人々にとっては
世界は永遠であって欲しいだろう
しかし、そうでない人々は、
この苦しみに満ちた世界が終わるように
願い生きている
彼らには終わりが必要なのだ
しかし
彼らが望むようにはこの世界は終わらない
だからこそ、彼らをこの世界で幸福にせねばならないのだ
今はまだそうではないということが問題なのだ
そしてすべては私の力が足りないせいだ」
涙を流して話されるタマンキに
弟子達は
オーッ、なんだか分かんないけど
いつもよりまともだぞと
パチパチ拍手をした
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