「あなた」と「私」に幸あれと/佐々宝砂
にも関わらず「あなた」と「私」は
わざとらしい青白い光輝を瞬間放つとその場から消えた
もちろん「あなた」と「私」を消したのは私である
こんなまどろっこしい二人に
そういつまでも付き合ってられっか
というのが表面的な理由ではあるが
本当のことを言えば
私は「あなた」と「私」を
洗濯物と晩飯の日常からすくいあげ
非日常的異次元空間の旅に出してやりたかったのであった
つまり私は「あなた」と「私」が好きなのであって
彼等をなるべくなら幸福にしてやりたいと願っているのだが
そういえば筆者が「私」とは別人であるように
私もまたこの雑文の筆者とは別人であるかもしれぬ
しかしまあそんなことはどうでもよい
異次元を彷徨する「あなた」と「私」に幸あれと
「あなた」ではないあなたもできたら祈ってあげてくれ
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