昇降機/
マチムラ
夜の昇降機
唸りが
聞こえる
唸りが
日常とまた別の日常の間を
あらゆる倦怠を乗せて
乱高下する唸りが
どこへも行けない
暗いエントランスの中央で
煌々と待ち続ける唸りが
それらの孤独な合唱が
ネオン輝くビル街の内部
何万もの林立する
心房細動のように
己の空虚に立ち震える唸りが
そして聞こえる
開いたドアの向こう
空打ちする
一個の心臓
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