あずきの恋人 (連載?)/たま
 
 だれかが来たのかもしれない。わたしはイチローのあとを追いかけて、玄関のドアを開けてみたけれどだれもいなかった。イチローは玄関の前のしろい郵便ポストのうえに、すばやく飛び乗ると、ほそくて長いしっぽをまっすぐ立ててふりかえった。
 アー、アー……。
「あ……、そっかぁ。郵便屋さんが来たのね、きっと……。」
 わたしはポストのなかをのぞいてみた。
「ん……? なにかはいってる……。」
 それは郵便ではなくて、ノートぐらいの大きさのうすい紙だった。チラシかもしれない……、わたしはそう思った。
 青いインキでなにか書いてある……、『手づくり絵本教室のお知らせ』……。えっ……?
 一瞬、わたし
[次のページ]
戻る   Point(11)