あずきの恋人 (連載?)/たま
てそう言った。
「え……? センセイ? ん……、わかんない。」
そういえばわたしはそんなことちっとも気にしていなかった。
「定員三名って、すくないわねぇ。」
おかあさんが言った。
「う……ん、なかなかいないよ、絵本を描きたいなんて。生徒はあずきひとりかもしれないね。あ、そうだ。あずきの絵本、あとでおとうさんにみせてよ。」
「え……、まだ、完成してないよ。」
「そっかぁ。じゃあ、絵本教室でしっかり勉強して、完成したらおとうさんにみせてくれる?」
「うん。わかった。」
あ……、よかったぁ。なんとか絵本教室に行けそうな気がして、わたしはとてもうれしくなった。よーし、がんばるぞ。
そのときだった。窓の外でなにか黒い影がうごいてすぐに消えた。
あれっ? イチロー……?
つづく
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