鴎/opus
 
海岸近くの
生い茂った草むらで
カモメがうずくまっている
瞳は僕を写しだし
僕はその瞳を見ている

その先には海があり、
僕の知らない世界がある
数多くの仲間たちと
世界を徘徊し、
自らの自由を
謳歌した
その記憶がある

僕の瞳には
きっと
カモメが写っていて、
カモメは
僕の瞳に写った
カモメを見ている

きっともう死ぬのだ
きっと
もう

僕は手を差し出し
その頭に触れる
体温を感じる
カモメの体温が僕の手に伝わり
カモメに僕の体温が、

そこで、

カモメは最期の力を振り絞り、
羽を広げ、
羽ばたかせ、

空へ
空へ
空へ

そして
海に落ちた
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