こわしにいこう/竜門勇気
 

世界は無力で温かい
地面と話している人々はよく知ってる

僕が統計学的に君とは殺し合いも辞さないレベルでの
喧嘩別れになるだろうってことを何度か説明してる間
頭の痛いふりをしてこの馬鹿げた話題を切り抜けようとする仕草が
まるで世界が間違っていて君が正しいように思えるほど綺麗だ

つまり世界と同じように僕の言葉は無力で
君の仕草は世界と同じように温かい
僕は実は地面と話す民なんだ
こうやって二人で話ができるようになるまで
いつも地面と話してたんだ
あいつは話題こそ一つも持ってなかった
けどいつだって(ただの一度も!)同じ顔ってことはなかった
発見と探索の喜びを持って
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