河の匂い/
古代 透
木立からうまれた
馬たちは渓谷の水を
跳ねて
氷の粒のような
白い息を吐いていた
やさしさからうぶ声を
晩秋の空にあげた
手のひらの沈黙を
コートのポケットにしまう
河の匂いが
あまりに大きすぎて
目をそらしてみたけれど
そっと
鼻孔の底から
流れてきて消えない
戻る
編
削
Point
(4)