はつゆきをいま/M?lodie
その日唐突に乱れ散った雪は
特別の匂いがした
かさりかさりと私の知らない音がして
歓声がぱらぱらとあがった
音もなく後頭部から染み入るように支配する
それが私の知っている雪
氷の味のする空気を纏って
知らない空の下で期待と不安に弾む足を竦ませた
どこに居ても一続きの地面
届かないと思い込んだ世界
私もきみもその中で小さく息をする
不安に震えて息を吐く
私に見える冬と
きみに見える冬は
きっと違う形をしている
たかがほんの小さな国よ
生まれたところも作った食べ物も違うのに
その日の雪を同じように見ている
見ているんだよ
今この1秒を同じように見ているんだよ
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