プロセス [フラッシュバック]/鈴置友也
 
懐中時計の竜頭をぬくと
(それはウィスキーボトル)
なかから水があふれてくる
振幅のはげしい針のうごきが
ふいに軽くスゥイングして
ひろがる液体に
手をかざす こぼれ落ちる しずくの糸。
軌跡のえがく文様は亀裂に
床である石膏は穿たれたうるしの膨張。
(みずおとの たえずひろがる 浸透圧)
うすい膜をさらにうすく 希薄に かぎりなく、
透明に そしてしみこみ 踞みこんで 見まもる
うるしの海 黄泉のさいはてへつらなる
膿へ。

セロファンの滴が ニードルの伸暢が
カリカリした形態の 寒天の粉を注入している
結晶化したセラミックにも及ばない
はてのない浸透圧 がセ
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