絶えざるか絶叫/高原漣
耳をふさげど聞こえるうめき
目を背けても視える奇妙な果実
空から落ちる黒い灰を敷きつめれば純白
社海(ソシエシー)にうかぶ小舟のような魚雷艇
いまどこを漂っているのか
知るすべもない十月(オクチャブリ)、
タリスマン(おまもり)を握りしめ
非実在に祈る夕ぐれ
いいえ(ニェート)、いいえ(ニェート)、わたしはそんなことを望みません。
神罰がくだるなら、どうか我が身に……と祈る少女の御下にも
質量なき羽根が舞い落ちる
そして無垢なる血を流す
少女の耳にも、聞こえるか絶叫
絶えざるは絶叫
罪有るものどもの遠い叫び
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