群青色の嘘/中原 那由多
それは見覚えのある匂いだった
忘れてしまったわけではない
ただ興味が失せてしまっただけ
冷ややかな笑み、その後味は甘酸っぱく
放課後に校則違反をした君のように
柔らかく、透き通っていた
ガラス越しの軌跡はストロボのように忙しなく
恋心を忘れて飛び去った
見返り欲しさに踊っている
慰めの落書きをレプリカに記すたびに
悲しい台詞で塗り固められてゆく
夢から覚めて、この足を止めたのならば
偽者は、いよいよ偽者でなくなってしまうのだ
インスタントコーヒーのほろ苦さではもう
単純な解答を導くことはできない
夜が迎えにくるたびに厚化粧をして
朝に連れて行かれる頃にはすでに二日酔い
それでも冬が寒いのは
傍観者だらけの交差点で
交わるものが一つもないからなのだろう
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