悲しみよ、こんにちは/
青井とり
お前の名前は悲しみなのだと
その女は言った
あれは夏の夜
目眩のするような
焦れったい熱を知った
本能を知った
美しさと、醜さを知った
嫌悪と、不安
少しの嫉妬
鞄の中身はそんなもの
「悲しみ」だなんて
持ち合わせていなかった
私はほんの少女だった
悲しみよ、悲しみよ
美しい響き
酔いしれる醜さ
ああ
愛を語るには
この唇は幼すぎる
気だるい朝に
誰かを思う、悲しみよ
ああ
これは悲しみよ
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