一夜が捧ぐ/itsuki
 
、目に、今度はわたしが愛憎をおしえる。


 いやしいほどに夢を、欲しがって愛された人、悪どくなって、もっとけな気に、嘘をついて、嘘でうめて、あなたの手を引きずる、そうして底に落ちるまで。



 「めをみて」、と言う、あなたの指尖がどんなに綺麗かを、まだわたしが知っている。かがやいて火はお手元、そこから放たれる、焦がれる、もう一度だけの見ぬふりを、ふたりでやり切ってしまうのだ。

 
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