存在と錯誤/ただのみきや
だ
「君 知っているかい
自動車は人間が中に入って動かしているんだよ なのにね
人間は自動車とぶつかるとそれっきり動かなくなるんだ 」
「ねえ 知っているかい
人間は神が造った空の星よりも もっと明るい星で夜道を照らすんだよ
私の仲間にはその星を身に着けている奴もいるんだ 」
君はそんな私の言葉をただ黙って聞いていたね
その寂しげな微笑みは今も変わらない
ねえ君 教えてくれないか
私はなぜトラックの荷台に寝かされているのだろう
私は何処へ運ばれるのだろうか
私は捨てられるのか
離れていても繋がっていると思っていた仲間たち
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