日記/空丸ゆらぎ
 
○月○日
日記を書いている。

*月*日
日記として、刻まれなかったあの時間、あの日について。
三食きちんと食べ、寝る時間、起きる時間も申し分なし。規則正しい健康的な日々。こんな毎日について、ある日、「特になし」と日記に刻んだ。

#月#日
魂を抉り出し、貼り付ける。私小説でも、芸術でもない。ただの「私的な日記」だからこそ。決して公表してはいけない。だからこそ一切の装飾はない。額縁も楽譜もない。真実だけがある。

△月△日
この日、この地で、この私が、世の浮き沈みの中で、
後世の人類に、あるいは、10年後の私自身に、
といいながら読み返すこともなく、

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