1/佐藤伊織
 
君のことがいやだって
嫌いなんじゃないよ?
嫌いなんて面倒な事は
いわない

ただ、なんとなくいやで
一緒にいたくないんだ

鏡の向こう側で
わたしの顔が
わたしに囁く

君は必要とする人には
避けられる
君は必要じゃない人に
うまいように使われる

君は愛せないし
誰も愛さない

君はすぐには死なないけど
死ぬときは一人だし
その間できるともだちはみな
本当は君の事を知らない
君が誰なのかも知らない
君が何をしたいのかにも
何をしているのかにも興味はない

もちろん
君だって
君が知りたいと思っている人のこと
なんて本当は知りたくもな
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