思想膿漏/いぬぐす
現実が歩くと言うので私はトイレに駆け込んで鍵をかけた
その中で私は虚構を排出し続ける
現実は次は自分の番だから早くしてくれと言う
その中で私は虚構を排出し続ける
虚構は野菜ときのこが腐った匂いがした
匂いはするけれど、形は青磁の肌の少年だった
トイレに満ちる匂いをさせて少年達は口々に言い合った
一番匂いのきつい奴を現実と名付けよう
トイレに満ちる匂いを嗅ぐ少年達は口々に発見した
このドアの向こうに現実がいるぞ
私はトイレの水を流した
匂いと共に少年達は海に向かって流れていった
現実はドアをノックしてきた
私は開けて現実を抱きしめた
虚構の言った通りだ
現実はきつい
現実はその場でおもらしをした
現実から排出されたものは私だった
水にもう流せない
受け止めるしかない
現実は「お母さん、大好き」とあどけない顔で笑った
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