「アパート」四歳の記憶/ドクダミ五十号
 
エントランスとか言うな

工業地帯にほど近い

どこか鉄の匂いのする町の

杉板貼りの二階建て

くもりガラスの引き戸

開ければ土間と廊下

左手に下駄箱あり

廊下のはじめ右には

二階に上がる階段がある

蹴上に板は張っていない

一間ほど進めば左に流しがある

くもりガラスの窓を台無しに

無骨な鉄の箱が廃材だろうか

縦に窓を遮る板にとめてある

硬貨を投入する口が銀色に強調されて

本体はくすんだふかみどり色で

リベットでとめられたアルミニュウムの

説明は溝なのだ

色入りの

廊下の突き当りには


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