だれかが今うごいてる/ソラノツバキ
夢から目が覚めた
思ったとおり天井がないが
その向こうで朝日が笑う
コーヒーを飲まなければと
降りるはずの階段もないから
仕方なく残った窓から外を見ると
猫が轢かれて死んでいる
その横を学生が駆け足で通る
母がゴミを出している
テレビの中で名探偵が
この事態を解決するが
つまらない推理の間に
時計の針は動いている
伊藤さん家は火事になって
消防車が来るけど
鈴木くんは石田さんと
今日はどこかに出かけるらしい
まな板を叩く音
母はまだ朝食を作っている
今日の朝刊にはきっと
何件かとんでもないことが載ってるだろう
猫のことはないに違いないが
確認の仕様もない
布団に倒れたから
ぱたん なんて音がたったろう
いつもより高い天井
真上にそびえるいつものヒノモトを
いくつもの機影が通り過ぎた
まだ母は朝食を作っている
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