明日の色/千波 一也
明日の色は
だれにも見えない
必ず見えない
もしかしたら、とか
うまくいけば、とか
思いを
重ねれば重ねるほど
夜は深く染まって
真っ暗だ
明日の色が見たければ
明日を待つしか
手立てはない
そんな
単純な難しさには
眠るよりほかに策がない
赤子なんだね
だれもみな
いくつになっても
いくつかわすれても
目覚めたところから
はじまり続けるよね
だれもみな
明日の色がわかるなら
昨日も今日も
無色だね
涙も笑みも
偽りにしかならないね
明日の色に
思
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