朝は来る/川上凌
 


いつかきみが言っていた
悲劇のヒロインきどれるように
自堕落なあたしを褒めてくれる手がほしい


僕もまたこの手の温度を
誰かに与えたい

僕らの世界もまた
需要と供給でもって 万事解決


たとえ現実感(リアリティ)のない世界に生きようと
僕らのために 朝はくる

そこに温もりさえあれば
存在くらいは確認できる


近代美術も流行も
誰かがそこに 温もりを
求めた証なのだろう



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