return/アルビノ
魔法を降らせそうな紫の空
広いそれに雪雲を敷きつめて閉じこめた
背の高い木々の細い指先が
くすぐるように風に揺られる
ぼくは深い雪の中
雨に変わった雲の欠片をあびる
誰も近付かなくていいよ
寂しくなんてないから
やさしいキスは知らないままでいたい
明日を待てるほどロマンチストにはなれない
熱を感じない白熱灯が
ぼくを見つめる
近付けない他人のままで
街灯だけでは足りない
外の暗さ
足はとうに埋もれてしまった
雪のせいじゃない
重力には逆らえないということ
もう返ってこいと、呼ばれているようで
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