蒼い思考 デッサン/前田ふむふむ
る 傍らに 脈打つやわらかい磁器 野生の猛禽類が見守っている
公園に横づける 無音の救急車
わたしはベンチから立ち 公園の門をくぐった
煌々と昼の顔をしたビルの電灯が いっせいに消えた
わたしは大通りにでて コートの襟を立てた ひとは歩いていなかった
塔のようなビルが断崖のように並んでいる でも あのむこうに いく必要はないのだ それだけは わかるようになった いつからか そう思うようになった 少女のような女と赤子が吸う おなじ空気がとけて わたしのからだを流れている
耳のおくで ひとつ水滴が落ちた
わたしは寝返りをうった
きっと白い羽毛ふとんのなかで
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