音楽に触れる/ヨルノテガム
 


 月や星を手に取り転がし 口へ入れて吐き出し、また口の中で転がす  よく泳ぐ魚は海面を境に映る月の遠く忘れられない記憶たちだ 波風模様をつけた砂丘は 旅人の足跡止まる、長編の楽曲をのせた遥か線譜――――― 月の夢、月のおはなし、千年の休符、デジャブのように訪れる微生物や虫との遭遇は、引き返してリピート繰り返しの記号である  植物の泡、立ちのぼる鳥の視点、神の使いとして。報告するのは水の命を運ぶ生物たちの因果やキスや。差異を認め(喰い喰われ)、変身変異してゆくまるで地下水から雲に至る世界世界の旅行、時は流れ 横断や縦断やキミの隣りや、よく知っている誰かを思い出せないもどかしさを、謎めいたもど
[次のページ]
戻る   Point(0)