大きなお鼻のトナカイさん/ゆべし
「僕はブサイクだ」と嘆くルドルフが愛しくて仕方ない。
大きな鼻は真っ赤な色をしている。
(泣かないでちょうだい、私のかわいいトナカイさん。)
実際には届かない手で、私は彼の鼻を撫でる。
(腐らないで、笑ってちょうだい。
あなたの笑顔が大好きよ。)
彼には聞こえない声でささやく。
私は瓶詰めのピクルス。
異様に頭の大きな赤ん坊。
視界に入ることさえ恥ずかしいような見た目をしている。
彼はまだ私の存在に気付いていない。
だから私は存分に彼を愛することができる。
泣きたくなったらまたここへ来てちょうだい。
私のかわいい、かわいいトナカイさん。
私は全身で彼を抱きしめる夢を見る。
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