いい一日になりそう/竜門勇気
かけて
塩とヘッドフォンをほおりこんで逃げた
追手が見つける頃には音楽は耳の中
裸になった蝋燭
光が当たる電圧
ガンジス・土嚢・毒の虫
ハレルヤは聞こえなかった
八千と四つの夜の裏
光瀬龍の文庫が世界中の古書店から
僕の部屋にやってくる
約束の時間の少し前
時は届かずに凍ってしまった
深夜の気配を感じて振り返るけど
そこにはだれも
猫の鳴き声で目覚めるけど
横には廃屋が
歩き去る自分の背中を自分で見てしまうけど
右手にはあの子が
僕の耳の中に舌を差し出して音楽だけを連れ去ってしまう
いい一日になりそう
あい足音
いい一日になりそう
あいあい足音
ぶれたままどっかで一つになりそう
いい一日になりそう
ぶれたままちょっと知らない誰かになれそう
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