『すがたみ』/あおい満月
 

おまえはいしつだと
だからドアのなかには入れない

進んでも進まない
脂の塊
赤い目玉を滴らせながら
やがて辿り着いた
ドアが開く、
わたしは真っ二つに分断される

目玉がひとつ潰れた
わたしは盲になった
人々は、
何くわぬ顔で
書類を小脇に通り過ぎる

時計はあと二分で九時になる
異質なわたしは
その他大勢になって
朝の挨拶を交わす


二〇一二年六月二三日(土)
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