snowcemetery/mizunomadoka
 

彼女は雪の墓地に立っていた

長かった髪は短く
麦畑のような輝きはもうない

ビスケット缶を持つその手だけが
昔のままだった

膝までしかない小さな十字の
雪を払い
彼女は遠くを見つめていた

彼女の手は
氷のように透明だった

枯木が
寄り添うように傾いていた





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