牡丹/ねむみちゃん
す。
お家に遊びに来るお友達来るお友達が、女の子の机の上の一輪ざしに挿した牡丹を褒めるのでした。
その度に女の子は「わたしは、この牡丹のようになりたいのです。」と答えるのでした。
そしてその度によしみさんは寂しくなるのでした。
「わたしのようなわるい子はこのまま散ってしまって、
あの子のようないい子が代わりになっている方が
みんなのしあわせのためにどんなにいいだろう。」
と思って、涙を落しました。
その間にだんだんと気がとおくなっていき、ガックリとうなだれてしまいました。
「まあ、よしみさん。起きなさいってば。」
とお母さんの声がします。
目を開けてみると、よしみさんは外国語のノートを開いてその上でうたた寝をしているのでした。
「ああ、神様、ありがとう御座います。
そしてお父さん、お母さん、学校の先生方、お友達、みんなに感謝いたします。」
ふと気がつくと、目の前の一輪挿しには牡丹の茎と葉だけがささっていて、花はうつぶせに落ちているのでした。
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