海老坂/綾野蒼希
 
れた
私はうなずくかわりに 毎日
白海老を持ち込むことを約束したのだ

(白海老のからだは透き通っていて
 わずかにピンクがかっている
 死ぬと乳白色になる
 なるほど 死体どもがうなるはずだ)

さて この坂の果てに
いったいなにがあるのか
一説によると――
巨大化した海老が暮らしていて
死体どもから摂取するらしい

私は 餌づけをしているわけでも
ましてむやみに肥やしているわけでもない
死体どもの命令と欲求は執拗なのだ
戻る   Point(2)