海老坂/
綾野蒼希
れた
私はうなずくかわりに 毎日
白海老を持ち込むことを約束したのだ
(白海老のからだは透き通っていて
わずかにピンクがかっている
死ぬと乳白色になる
なるほど 死体どもがうなるはずだ)
さて この坂の果てに
いったいなにがあるのか
一説によると――
巨大化した海老が暮らしていて
死体どもから摂取するらしい
私は 餌づけをしているわけでも
ましてむやみに肥やしているわけでもない
死体どもの命令と欲求は執拗なのだ
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