インド人 吉田  (前)/salco
 
位ブラフミンの家系である。との矜持には何ら史実的
傍証はないのだが、外国人と異教徒をアウトカースト(不可触民)に等し
いと見做していたのだ。
 
 神聖の系統ブラフミンは、あらゆる汚染を避けねばならない。人間の範
疇に入らぬ不可触民は見てもならぬとされている。
 片田舎に住む祖母などは、通いのドビー(洗濯人)やヴァルミキ(便所
掃除人)の賃金を、召使を介して渡していた。裏口のポーチに届けさせた
籠の中身を乾かして着、顔を拭き、あるいはくるまって眠るくせにであ
る。 
 召使達は上前をはねていた。ドアを開けて手渡しせず、脇の小窓から放
る。やりきれない夏の午後を従兄弟らとピロテ
[次のページ]
戻る   Point(2)