(批評祭参加作品)原口昇平という名の色/いとう
 
たとえば「赤」という色を、すべての他者が、自分の感じる「赤」
と同一の「赤」として認識しているのだろうか。感じる「赤」が異
なっていても、赤という「言葉」でそれが統一・集約されている限
り、その違いに気づくことができないのではないのか?

上記の問いはおそらく、誰もが幼い頃一度は自身に投げかけるもの
であり、様々な学術へつながる第一歩でもある。特に言語学におい
てはシニフィアン、シニフィエの概念にも通じる。

…シニフィアン、シニフィエについて…
周知であると思われるが、一応、知らない人へ向けて。
端的に言えば、シニフィアン=その言葉が指し示す対象、シニフィ
エ=その言葉に
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