おっさんのブルース/まーつん
 
生きるのがかったるい
起きるのがかったるい
そう 何もかもが かったるいんだ

筋の読める映画
見え透いたスローガン
愛は押しつけがましく微笑み
悪は歯を剥いて唸りかけてくるが

俺には少し退屈

時刻表はいつも無表情で
電信柱はいつも直立不動
靴底だけがすり減っていき
不精髭が休日をアオカビ色に彩る

俺はおっさんになった
感性より惰性に突き動かされ
倦怠を破る心がけには
詩心よりも出来心

満員電車で隣に肘をぶつけずに
広げるのだけがうまくなった
大手新聞の斜め読み

世の中を要約して
分かった気になったのはいいが
視界からは輝きが失せて
[次のページ]
戻る   Point(8)