枯葉/岡部淳太郎
 

それゆえに尊い
葉脈のほころび
空の見えない高さの
さらに高いところで
宇宙の深淵のような場所で
大きな枝から離れた時のことを
この地上の休息の中で
枯葉は思い描いている
斥力は恩寵
離れられるしあわせ
その計らいとともに
枯葉はたどりついた場所で
腐りながら眠る
そのようにして
この土に同化する
(夢を見ることなく)

いまもこうして
どんな時にもかかわりなく
空から落ちつづける枯葉たち
その小さな落下を肩に受けて
この地に生まれた小鳥が
傷ついた翼をかかえて
もう一度飛び立とうとしている
自らの物語を
口ずさんでいる
(夢を見るために)



(二〇一二年十月)
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