枯葉/岡部淳太郎
空から枯葉が落ちてくる
頭上の木から切り離されるのではなく
空の見えない高さから
無音とともに落ちてくる
空の見えない高さの
さらに高いところの
その向こうがわ
宇宙の深淵のような場所から
粒子のように枯葉は落ちてくる
いや、落ちてくるのではなく
ただ やってくるのか
この地を
目指しているのではなく
この地にたどりついてしまった枯葉たち
いま切り離されたばかりではなく
ずっと前から枯れていた
老いた乾き
それらの葉がこの地の重さに引かれて
やってくる
重力は淋しい
その透き通った感情の中で
枯葉は次々にやってきて
降り積もる
あまりにも軽すぎる心
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