新生 デッサン/前田ふむふむ
さがし紡いだ
若い女の幽霊に栞をはさんだ
曲がった家族アルバム
透明なランドセル
逆立ちしているモネの偽絵画
卓上時計のなかに咲いたみずの花
そして
みんなで大きな柵をつくり
みんなの動けなくなった人をならべた
身体をおおう純白の布の
いさぎよい色は
きっと
このときのためにあるのだろう
おぼえている
昔 父の葬儀のとき
抱えた白い骨壺はとても冷たかった
あの純白は
これから歩いていくものだけが
もてるのだ
アオサギが啼き
わたしの足が西にかたむくころ
低い稜線が
すこしずつ
海に没している
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