【HHM参加作品】ぼくらはみんな詩んでいる!??草野心平「冬眠」を音読するために/香瀬
このように、「羅生門」という小説は、様々な二択の選択肢の間を縫うような設定を重ねて作られたものと言えます。
以前知人と「下人の行方は?」という話題を話していたとき、「羅生門に戻ってくる」と返答されたことがありました。下人には自分の意思がないのだろうか。
ただ、下人とは平安期の貴族の奴隷のことですが、暇を出された男が終始「下人」と呼ばれ続けたことは、選択肢を前にしても人間は何も選ぶことができない、選ばされているに過ぎない、人間とは運命の奴隷に過ぎない、という読み方は深読みしすぎかもしれません。
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・ 「●」を音読するために(3)
「冬眠」をその
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