南房総ポエトリカル・アンソロジー その1/あおば
のだろうが、乗り換えの待ち時間が少なすぎて慌ただしい。途中下車できる切符がなんの役にも立たない。考えてみたら安房鴨川に来たのは三度目。初めては1961年の夏、母と姉と三人で内房線経由で海水浴に訪れた。電化前なのでジーゼルカー、キハ17(元キハ45000)の5連は海岸沿いの侘びしい線路を淡々とひた走る。時速40キロくらいまではトルクコンバーターが唸り、落ち着きがないのだが、その速度を超えると、直結クラッチが入り、滑ることが無くなり、背筋が伸びるようにスピードに乗って、時速90キロ程度ですたすたと快走する。軽量化のために天井は低く、ビニールクロスのシートはやや貧弱で あったが、地球温暖化前の千葉は夏で
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)