さすらいのフレンチトースト/ブルース瀬戸内
私はフレンチトーストなのである。
有史以来フレンチトーストである。
気の遠くなるような宇宙の歴史が
私が存在する必然性を担保すると
かのデカルトも明言した気がする。
モーニングといえば私、ではない。
私、といえばモーニングなのだよ。
私、がモーニングを司る寸法だよ。
モーニングを司るとは何事なのか。
ディナーすら私の手の内なのだよ。
それがたとえイタリアンであれね。
寂しい思いはするんだろうけども
いいのだよ、そんなことなんてね
パンをこっそりとすり替えてやる。
私はフレンチトーストなのだから
卵やミルク、砂糖の主張は分かる。
でも私はそれらの代弁者ではない
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