光冨郁也詩集『バード・シリーズ』あとがき/葉leaf
った交渉をすることができない。彼女らは触れたり視線を投げたり意味のない声をあげたりすることしかできず、たとえ男に触れようと、そこに人間的な愛情や欲望はない。女の孤独は動物的な孤独である。
死んだ父親については、『コミック雑誌』『スカイライン』などが、その生前の有様や死後の周りの者たちの様子を描いている。死んだ者はもはや精神が存在しないから、他人との交渉が絶対的に不可能である。他人は、死んだ者についての記憶と交渉することしかできず、死んだ者自身とはもはや永遠に交渉することができない。父親の孤独は死者の孤独である。
男は孤独に慣れるあまり孤独を純化しようとした。だが、究極的な孤独である死者の孤
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