光冨郁也詩集『バード・シリーズ』あとがき/葉leaf
+剥離+呼吸+孤独+写像+
1.はじめに
光冨郁也の詩は白磁のように硬くて白くて滑らかだ。硬さは、詩語の硬さでありまなざしの硬さであり何よりも孤独の硬さである。白さは、詩世界を覆う光の白さであり風格の白さであり何よりも感知力の白さである。滑らかさは、語感の滑らかさであり詩行の連続の滑らかさであり何よりも呼吸の滑らかさである。
2.+剥離+呼吸+
TVのカードの残り時間が切れた。電源の切れた暗い画面に、自分と背後の窓が映る。たわむ色のない世界。物音しない病室。点滴はもう液がなくなりかけている。そろそろ看護師が来るころだろう。二の腕にさしている点滴のチューブを見つめる。
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