門の向こうに/番田
僕は見ていた
見ていないものを その中に
いつも 掌の中に
強く信じていた子供だった気がする
きっと 誰の言葉もなく
夢見た日々は
遠のいていった 何も残さずに
思いをグラウンドに見つけたいけれど
夏は もう 帰ってはこない
あの世に葬られた 女に暴力を振るわれた日々も
影の屍を夜の瞬間に残しては
どこへ 僕は 行くのだろう
それでも人の読まない動物の詩を書きつづけるのか
言葉は 誰の読むあてのないリズムで連ねられていく
疲れていた 否定はできないけれど
引っ越そうと思う もうじき 春が来たら
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